キラワレモノ

 俺は「キラワレモノ」だ。友だちは少ない。が、いなくはない。悪い奴らはだいたい友だちなんて、腐ったセリフは絶対に吐かない。
 
 「愛」だの「友情」だのという言葉を同年代でも平気で吐く同輩がいるが、青臭い俺は今でもさぶイボができてしまうので、そういう同輩とは酒を呑まない。
 
 俺がなぜ嫌われるのかというと、いつでも本音だし、本質を突いてしまうからだと思う。そんな風だから当然、俺自身の本音の部分を本質で突かれても困らない。恥ずかしくない。そうやって生きてきた。

 
 だが、人間歳をとると、本音が言えなくなるものらしい。本質を突かれると取り乱してしまうらしい。そして本質を突いた人間を攻撃してくるようだ。
 
 そういう俺を「薮ちゃんは組織に向かないよ」と言う。「はぁ?」である。組織というものは本音が言えない場所なんですか?本質を突くと組織は崩壊するんですか?
 
 確かにそうだ。組織はそういうものらしい。そして人間誰しも人に言えないことの一つや百八つくらい持っているのが普通である。いつでも本音なんて、青臭いことはできないのが組織なのである。
 
 でもなのである。世の中は広い。俺のようにキラワレモノになる素地を持った人間は少なからずいる。人間五十年近く生きてくると、そういう人間が周囲に集まってくるのである。そういう人の集まりで組織を作ったらどうなるとお思いか。そこで商品を開発し、販売したら。
 
 本音で語れない企業には負けない企業ができると俺は信じているのである。
なぜなら青臭いからね。