資格制度を作る前にやることがあるんじゃ?

-[ iza ブログからの転載 ]————————————
 

 特許庁所管の発明協会が、知的財産を活かした経営戦略を指導する専門人材の育成と資格制度の設立に動き出すようです。設立される資格は「知的財産アドバイザー」と、「知的財産ライセンス・コーディネーター」、そして「知的財産管理コンサルタント」の三種類だそうです。
 
 
 要は、政府が国家戦略に掲げている「知的財産戦略会議」の一環なんでしょう。この知的財産戦略会議は、2003年に現政府が発表したもので、誤解を恐れず言ってしまうと、米国の特許強化戦略の二番煎じみたいなものです。日本独自の戦略ではないと私は思っています。米国が特許強化戦略に乗り出したのは80年代。ハイテクなどにおいて日本の力が世界をある意味で脅かしていた時代です。米国が特許強化戦略を推し進めた結果、その後の産業界の世界情勢がどうなったのかは皆さんご存知の通りです。

 
 
 知的財産を保護すること自体はとても大切なことだとは思いますが、米国に20年も遅れて、今さらながらの二番煎じ戦略を進めるのもどうかと思います。これからの日本の産業界のことを真剣に考えると、米国と同じ方法で知的財産を保護するよりも、今の時代の日本の産業にあった方法があるんじゃないでしょうか。
 
 
 知的財産保護の第一歩は特許や実用新案でしょう。前出の資格制度で輩出される人材は、この特許の取得方法や活用方法、そして訴訟の問題などを中小企業にアドバイスするのが主な仕事になるはずです。しかしながら、現在の日本において、この特許に関する問題はかなり複雑なものになっていると思います。特許の問題と聞いてすぐに思い浮かぶのが特許権の侵害ですが、同じビジネスマナーをベースにした日本国内の企業同士であれば、時間はかかりますけど、前向きに解決できる状況ではあります。しかし、ここ数年来、日本の特許を侵害してるのは主に国際法を無視しがちな近隣諸国です。これらの国は、国際的にみれば間違いなく違法だとしても、自国の国内法で簡単に無罪にしてしまう国です。日本の大企業が敗訴したケースは数え切れないぐらいあります。以前、インターネットで誰もが検索できる、日本の特許庁のデータベースを、どの国が一番検索しているかを調べてみたことがあるのですが、日本国内以上に多かったのが我々の隣国でした。善意で考えれば、日本の特許を侵害しないようにとの閲覧だと思えなくもないですが、日本の特許を侵害するのもかの国の方々です。こうなると確信犯だと思えてしまいませんか? そんなわけで、今の日本の企業は特許を申請するのを控え、多くの技術をブラックボックス化することで隣国の技術侵害に備えているそうです。
 
 
 特許の問題のふたつ目は、中小企業にとっては、その取得にかかる費用と時間がバカにならないことでしょう。商標登録ひとつとっても、審査に7万円強、登録になると10万円以上かかります。それも1区分のみの出願ですから、複数の区分への登録となればさらにかかってしまうわけです。特許権となるともっと複雑で、さらに高額です。特許登録できるとわかっているなら高くもない費用ですが、審査時で168,600円+請求項数×4,000円かかってしまうんです。これを弁理士に頼めば、さらに手数料がかかるわけですから、もし私の会社で特許を取るようなことになれば、その費用で倒産してしまいそうです。(笑) 今はビジネス特許もありますから、技術系企業ではない私の会社でも特許出願はありうることで、笑い話じゃないんですよね。現在の日本の産業界を支えているのは決して大企業だけではありません。数的な視点で見れば、町工場を初めとした中小企業の方が主役だと思います。つまり、中小企業がもっとリーズナブルに取得できるような費用でなければだめなんじゃないかと思うわけです。
 
 
 話を戻しますと、上記したことも含めて相談できる知財の専門人材育成ということなんでしょうが、国際法を無視するような国に知財を侵害されたとなると、誰が専門人材になったとしても同じでしょうし、これまで頼んでいた中小企業診断士や弁理士が専門資格を取得したとなると、それでまた手数料が高くなってしまうのでは困りモノです。
 
 
 私も個人的にこの資格に興味があるので、可能であれば受けてみようかと思うのですが、それよりも、政府のお偉いさん方。知的財産戦略の内容と、知財関連に関する費用について、今一度見直していただけませんか? その結果、今の時代に、今の日本に即した内容の戦略になることを願ってやみません。

 

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