想像力

 「想像力」ほど、組織を円滑に動かすために必要な力は、他にないと思っている。これは経営者にも、そしてその組織に属する人たち、双方に必要な力だ。と、そう思う。
 
 磐石な組織には何が一番必要ですか?と問われて前述したように答えると、その頭の上に「?」が浮かぶ人が多い。無理も無いことだろうと思う。「お金」や「人脈」、はたまた「実行力」が一番重要だと、どのビジネス書も書いてあることだろうし、また、たとえ「人間力」が大切と書いてあったとしても、「想像力」という文字を欠いていることだろう。想像力だなんて、こんな夢想家のような言葉にピンとくる人は少ない。

 
 俺が大切にしたい「想像力」とは、人間関係に於ける因果律を基本とした「未来への想像力」だ。因果律とは、すべての事象には必ず原因(因)があって、その結果(果)が事象として現われるという考えかたのことを指すが、因果律は往々にして結果論に使われることが多い。事象という結果が出てからその原因を探っても、一つの原因にしか行き着かないわけだが、その原因を探る想像力とはそんなに大層なものではない。いやこの場合は想像力というよりも、分析力といった方がいいだろう。
 
 俺が言いたい「未来への想像力」とは、因果の「因」が始まった、または始める前に、どのような「果」が起きるかを想像する力のことだ。この時点では「果」はひとつではない。いくつもある。しかも組織の場合はただ一人で「因」を起こすわけではないので、そこにいる複数の人や他社、そして市況などが関係してきて、どのような「果」が生起されるかを想像するのは難しいと思われる。
 
 そういうときは、ただ単純に、その都度、一緒に働く同僚や部下、上司、そして自社のお客がどう思うかを考えればいい。自分がこう言ったら、こう行動したら、仲間はなんて思うのか、そしてお客がどう感じるのか。その刹那刹那で常に考える。できるだけ客観的に、相手の立場に立って考える。ここが重要。
 
 そのとき、100%誰もが喜ぶことなどないことを心得ておく。つまり、関与するすべての人が喜ばなければ行動を起こさないというのはダメだということ。逆に言えば、たとえ10%の人しか喜ばないと感じても、その結果は全体のためだと思えば、そして必ず次の30%の喜びにつながると確信がもてさえすれば、行動を起こしてもいいということだ。
 
 ここで重要なのは、未来への想像力を働かせてから行動を起こしたかどうかである。想像せずに行動を起こした結果、10%の人しか喜んでくれなかったというのと、10%の人しか喜んでくれないかもしれないと想像した上で、それでも次につなげるために必要だと思って行動するのとでは、「果」は、つまり組織の未来は大きく異なる。
 
 もちろん、こうした組織の中での行動で重要なのは、その行動が私利私欲に端を発しているものではなく、組織全体を考えた上でのものであることだ。
 
 なんだか小難しく書いたけど、当たり前のことなんだと思うよ。だけど、こういうことを組織の中の少数だけが考えていたんじゃダメで、組織の長を筆頭に全員が考えなければダメなんだよね。そういった組織を作る方法は、またいずれ。