光景写真・しだれ桜の金屏風

 

浄福寺・しだれ桜の金屏風

浄福寺・しだれ桜の金屏風

前回のエントリーで八王子近辺をうろうろとロケハンして廻っていると書きましたが、今回は本番のつもりで「 桜 」の「 光景写真 」を撮ってきました。かねてから「 桜の光景写真 」を撮れとクライアントから言われていたのですが、今年の八王子の桜は開花が遅く、ここまでひっぱってしまいました。
 
当初イメージしていたのは、「 朝露を抱いたソメイヨシノ 」というテーマでマクロ撮影を予定していたのですが、都合が合わずに結局夜の撮影になってしまいました。ストロボを使う「 光景写真 」というと、どうしても夜の撮影のイメージが強くなるので、もっと明るい時間帯での写真を増やそうと思っていましたが、少しペンディングです。
 
さてこの「 しだれ桜の金屏風 」ですが、撮影データは以下の通りです。

カメラ:Nikon D800 レンズ:Kenko-Tokina 16-28mm f/2.8
ストロボ:Nissin MG8000 焦点距離:16mm f/14 15.0 秒 ISO:800
撮影日時:2014/04/05 20:52:44

スタジオグラフィックスのプチ日記で詳細解説を掲載しました。

 

ここでのポイントは露出時間です。夜の 9 時近くということで辺りは暗いのですが、背景の空に八王子市街の夜景がわずかに映っているのを 15 秒という長時間露光で写し込みます。そしてその間にクリップオンストロボを手に持ち、桜の下を走りながら数回発光させて、桜自体を浮かび上がらせます。ストロボの方向は最終イメージを予想しながら花と枝に向けて発光しました。もちろん一度でうまくいくはずはないので、何度もチャレンジしました。このときは向きを変えアングルを変え、そしてストロボの光量や向きを変えながら約 3 時間で 65 ショット撮って、なんとかこの一枚が撮れました。
 
絞りは f/14 ですが、これは絵面が平面的になるくらいパンフォーカスにしたかったからです。それとほとんど真っ暗なのでピント合わせが難しかったということもあり、ピンぼけ回避の理由もあります。もちろんマニュアルフォーカスです。
 
桜の花が風に吹かれてそよぎ、被写体ブレしていますが、約 0.5 秒おきに発光させたストロボにより、そのブレは大きくなります。これに対して幹は微動だにしていないため被写体ブレはしていません。これは予想していなかったことですが、結果として金屏風に描いた日本画のイメージに近くなりました。
 
以前に、光景写真は頭でイメージした絵に近づけるためにストロボやカメラを駆使して撮るなどと偉そうなことを書きましたが、この写真は頭でイメージしていたものよりも良く撮れたという偶然の産物です。失敗を繰り返していると、たま~に天が味方してくれます。でも本当は自分のイメージ通りに撮りたいものですけどね(笑)。